阿寒湖にて

先週北海道に帰省しておりました。

10月末はもう、冬の入り口です。

関東圏では、盛り上がっているハロウィーンの装飾などがほとんど目立たずコンビニもひと足さきにクリスマス仕様。夜、冷たい風がピューっと吹くと、耳がジンジンと痛くなります。

 

父は高齢のため、今年免許を返納し、私は免許なし。

今まで帰省すると、だいたい車で遠出するのが常でしたが今年は車がないので、公共の交通機関で行けるところに行ってみようかと阿寒湖まで。

 

すっかり観光バスの類かと思いきや、普通の路線バスで

停留所の数77個。トロトロ2時間かけて阿寒湖まで辿り着きました。

 

阿寒湖、子供の頃から何回きたことか。

大体小学校の遠足も阿寒湖周辺はお約束で

休日もよく家族でこの辺りをドライブしました。

 

ついでに王道の遊覧船にも乗ってみました。

 

子供の頃からのお馴染みの風景なれど、やっぱりこの場所の空気はとてもパワフルです。

乗り心地の悪い路線バスで、ブーブー文句を言っていた父も目の前に広がる、深い自然にすぐに機嫌を直してくれました。

 

「やっぱりここまで雄大な自然の中にいるといいなあ」

「雄阿寒岳、何回登山したかわからないよ」

 

私も澄んだ湖と手付かずの森、堂々たる雄阿寒、雌阿寒岳の姿にすっかり魅せられてしまいました。

木々はうっすらと紅葉し、さまざま色のグラデーションが優美な山々の稜線を覆っています。

赤や黄色、濃い緑やモスグリーン、グレイッシュなグリーンにブラウン。高い空には浮かぶ雲の影がその山々の表面に影を落とします。

ほとんど人が入ることもないだろう、深い森にはどんな動物たちが息づいているんだろうと想像するとその神秘にワクワクしてしまうのです。

 

道東の日没は早く、午後16時半には日没です。

帰りのバスに乗り込むと、キンと冷えた藍色の空に

半月を過ぎた月が輝いていました。

数日後の満月に蝕を迎える月でした。

 

蝕は毎年に2回ありますが、何かと物事が動きやすい時期です。

世界ではちょうど大きな争いも始まりました。

自分もちょうとホロスコープ的に色々ターニングポイント的な時期で、心ざわめき、揺り動かされることが続きます。

 

ふと、この森と湖と山を見ながら暮らしてみたいという想いが湧き上がってきました。

この深い自然の息吹をもっともっと近くに感じて、その織りなす空気を時間の中で生きてみたい。

 

そうしたら、何が起こるだろう?


 

実は数年前から、今よりもっと田舎の

自然の深い場所で暮らしてみたく、場所について思い巡らせていました。自然の深さといえばここはもう、文句なしではありませんか。

 

突拍子もない話ですが

何しろ地元ではありますので、無謀なことではありません。釧路のような都会ではありませんが、一応町はあるし、空港もあるし観光地だからレストランやカフェもあるではないか。冬の寒さだって想像はつきます。

 

でも免許もない中年女が一人でこんなところに住めるのでしょうか。

そして仕事はどうするんでしょうか?

ちょっと面白い気がしてきました。

 

バスの窓の外から追いかけてくる月を見ながら

そんな妄想に心を預け、帰路につきました。

この妄想がもしも妄想ではなくなったら、また書きましょう。